もはや通信事業会社から、投資会社へ変貌を遂げたソフトバンク(孫正義社長)。
ソフトバンクが、WeWork救済のために、みずほ銀行をはじめ、メガバンクたちに巨額融資を新規要請しました。実際のニュースはこちらをご覧ください。
ソフトバンクは、1,300社の子会社を持ち、700以上の企業に投資しています。
今回は、その中でも、海外の投資先にフォーカスします。その中でも、絶対知っておきたい10社をカンタン解説いたします。
知っておくべき ソフトバンク海外出資先 10社 まとめ
参考: chrunchbase.com
カンタン・ハイライト解説
アメリカ通信事業の投資失敗
スプリントは、アメリカのモバイル通信会社です。2013年、ソフトバンクは 2013年 255億ドルでスプリントを買収し、現在も80%の株を保有しています。
しかし、こちらの投資は失敗だったと言われています。まずずっと赤字。巨額の有利子負債を抱え、なんとソフトバンクグループの中で25%以上を占めていました。トランプ政権の法人税引き下げにより一時的に黒字に転換しましたが、最新決算 (2018年度)も、19億ドルの赤字です。
アメリカ国内シェアも 3位から 4位に転落。
最新情報では、ドイチェテレコムが筆頭株主となり、Tモバイルと合併を検討。今月承認が降り、ソフトバンクは事実上撤退することとなりました。
配車サービス事業に手広く出資
世界の配車サービスは、アジアのグラブ (Grab) と、アメリカのウーバー (Uber) が業界を牽引しています。ソフトバンクは両方に出資をしています。
ウーバー (Uber) は、アジアに進出するも、グラブに覇権を奪われ、撤退状態です。
また、パワハラ問題があったり、労働者(運転手たち)とのトラブルがあったりと、問題が後を絶ちません。最近では、2019年10月、女性 34名からセクハラ行為があったとして訴えられています。最新の2018年度の純利益は、マイナス 18億ドルでした。
リフト (Lyft) は、ウーバーの直接的競合サービスとしてよく利用されており、筆者もアメリカ滞在時利用しました。楽天も 11%の株式を保有しています。ソフトバンクは、2015年に25億ドル出資しています。しかし、リフトも赤字続きで、純利益はマイナスです。
自動運転事業にも絡む
ジーエムクルーズ (GM Cruise) は、アメリカのジェネラル・モーター社との共同出資で、2018年、ソフトバンクは 34億円出資しました。
アドバンスド・テクノロジー (Advanced Technology) は、ウーバーの自動運転部門で、ソフトバンクは 2019年 3.3億円出資しています。
中国投資も積極的
中国では、月間ユーザー 5億人を誇る TikTok をはじめ、様々なデジタル・メディアを提供する バイトダンス (Byte Dance) に 30億ドル出資しました。
中古車販売の 車好多 (Chehaoduo) にも 2019年、15億ドル出資しています。車好多は、2019年、総額90億ドル調達し、世界のスタートアップ調達金額ランキングで 4位になりました。調達目的は、実店舗の展開するためだったとのこと。
中古車市場は現在とても熱いですが、実店舗に充当するためにこの巨額融資…。ソフトバンクは、IT業界のなかでどのような立ち位置を目指しているのでしょうか。
まとめ:ソフトバンクの海外出資のここがヤバイ
WeWorkへの連続巨額融資
ウィーワーク (WeWork) の法人名は、ザ・ウィー・カンパニーです。ソフトバンクは、2017年より すでに、複数回にわたって、総額 93億円投資してきました。
今回の、みずほ銀行らに、さらに融資を要請した総額は 68億円。足し算すると、100億円以上を超えてしまいます。上記の表でわかる通り、他の投資先と比較してもその金額がいかに以上な数字であるかが、見て取れます。
なおかつ、自動運転や在庫を持たない配車サービスとは異なり、コワーキングスペースは不動産事業です。リスクが高いということです。
さらに、ウィーワークの評価額は、当初予定されてた 470億ドルから、推定 75億ドルに大暴落しています。一方、中国のバイトダンスの評価額は 750億ドル超と いわれています。
アメリカ投資への連続失敗
ソフトバンクは以前よりアメリカ進出を幾度となくチャレンジしてきました。
最初はスプリントです。しかし、本家本元の通信事業だったにも関わらず、失敗に終わりました。
また配車サービスでも積極的に投資していますが、アメリカでは、ウーバー・リフト共に純利益は赤字、大苦戦を強いられています。
寡占状態への懸念
アメリカは、海外資本が参入してくることに関して大変シビアです。トランプ政権に入ってからはその傾向はさらに強くなっています。
スプリントの時もそうでしたが、Tモバイルを買収しようした際、国外資本の独占状態を避けるため、アメリカの許可が下りず、結局シェアを拡大することはできませんでした。結果、逆に買収され、身売りという結果に。
ソフトバンクの海外展開は、日本人としては大変誇らしいものでありますが、アメリカ市場参入については、大変リスクが高いです。投資の回収という点では、非常にリスクが高く、確度が低い投資先になるかと思います。
個人的には、分野にもよりますが、まずアジアで着実に足場を固めることが先決かと思われます。アメリカにはアジア系の移民が多いため、ブランド力も、日本からではなく、アジアから全発信することができるからです。